目的の革鞄のコーナーまで辿り着くと、そこには、友人が言っていたように、私が思い描いていた理想的な、ショルダー付きの革鞄が陳列していました。イタリアの革製品を扱う数多くの老舗の中でも、私は、重たすぎず、それでも軽率なスタイルではない、申し分のないようなデザインの2wayブリーフケースでありました。
とりあえずは、その日は、プライスの確認と在庫の確認だけを行い、また近々、来店すると店員さんに告げ、店内を後にしましたが、運命のブリーフケースにやっと出逢えた喜びを、いち早く友人にお礼の意を伝えようと、帰路の途中で連絡を入れました。
実は、現在の妻を紹介してくれたのも、理想的な鞄を的中した友人の紹介であった事をふと思い出しました。
彼には、鞄のお礼を述べながらいつものように会話をする中で、なんだか、私自身の全てを見透かされているような、全てを理解されているような気分でもありました。